―訪問診療クリニックの開業を考えている
―集患のためにやるべきことがわからない
―集患のための営業活動の心構えがわかる
―集患のための具体的な営業活動がわかる
「訪問診療クリニックがやるべき営業方法がわからない」
これから開業を検討している人の中には、具体的な営業方法がわからず、不安を感じている方もいるのではないでしょうか。
本記事では、外来と異なる訪問診療ならではの営業方法を解説します。具体的な営業方法を学び、集患対策に活用してください。
昨今、訪問診療のニーズが高まり、訪問診療を行うクリニックが増加していると言われています。この背景には、以下の理由が関係しています。
少子高齢化が進み、高齢者の数が増加していることと、高齢者自身が自宅で看取られたいと願うことから訪問診療のニーズが高まっています。
国立社会保障・人口問題研究所の「日本の詳細推計人口:出生中位・死亡中位推計」によると、日本は少子高齢化が進行していることがわかります。
1990年に約1億2000万人であった日本の総人口は、2060年には約8600万人に減少するとされています。70年間で19歳以下の人口が26%から13%に減少し、一方で65歳以上の人口は12%から40%に増加する見込みです。
訪問診療の利用者の大部分を占める高齢者が増えることで、訪問診療の必要性が叫ばれています。
参考:厚生労働省医政局指導課在宅医療推進室「在宅医療の最近の動向」
内閣府の「高齢者の健康に関する意識調査」によると、高齢者の54.6%が「自宅で最後を迎えたい」と考えていることがわかっています。
また、配偶者を自宅で最期を迎えさせてあげたい人は57.7%もいます。患者さん自身が、自宅で看取られたいと願っているだけでなく、配偶者も患者さんを自宅で看取ってほしいと考えている人が多いのです。
こういったニーズによって、訪問診療のニーズは高まり続けています。
参考:内閣府「高齢者の健康に関する意識調査」
厚生労働省の「在宅医療を受けた推計外来患者数の年次推移」によると在宅医療を受けた患者数は2008年から増加しています。
レセプト数では、2006年に月約20万件だったのに対し、2014年には約64万件まで増加しました。訪問診療を受けている患者さんの年齢層は、75歳以上である後期高齢者です。少子高齢化の影響を受けているといえるでしょう。
参考:厚生労働省「在宅医療を受けた推計外来患者数の年次推移」
訪問診療の患者数増加にともない、在宅療養支援診療所・在宅療養支援病院の施設数も変化が起こっています。
在宅療養支援診療所の場合、2016年まで施設数が増加傾向にありました。また、機能強化型在支診としての届出数は増加傾向にあります。
在宅療養支援病院の届出数は2010年以降、上昇傾向にあり、機能強化型在支病も上昇しています。
参考:厚生労働省「在宅医療の現状について」
集患のためには地域の連携機関から患者さんを紹介してもらうことが必要です。よって、営業活動は地域の連携機関(病院、訪問看護ステーション、居宅介護支援事業所、施設など)となります。そして営業活動の際に知っておくべき心構えは以下の通りです。
最低限のマナーを守りながら、相手を気遣い、誠意を持って対応することで信頼関係が作りやすくなるでしょう。
相手が求めることをヒアリングし、そこに対して自院の強みをしっかりアピールすることが大切です。
訪問診療クリニックとして営業するために重要なことは、営業先と信頼関係をつくることです。相手と話すときには、最低限の接遇のマナーを心がけなければなりません。相手の都合に合わせ、必要以上に時間を奪わないよう、手短に要点をまとめて話すことが大切です。
相手を気遣いながら対応し続けることで、信頼関係を築くことができ、継続的な関係が成立するでしょう。
訪問診療クリニックに関して、相手が知りたいことや興味・関心をもつことに焦点を当て、的確に情報提供することが大切です。
たとえば、以下のような情報は、訪問診療クリニックの利用を検討している人の興味・関心を引きやすいでしょう。
上記の情報提供は、必須です。チラシやパンフレットなどを準備し、正確に伝えるように心がけましょう。
訪問診療クリニックとして、他院と比べた強みをアピールすることは重要です。たとえば、以下のような強みがあると有効になります。
営業先にヒアリングを行い、どういったニーズがあるかを確認したうえで、そこに合致する自院の強みをアピールすると良いでしょう。
訪問診療クリニックの集患につながる営業活動として大切なステップは以下の通りです。
まずは地域の多職種に認知してもらい、紹介が受けられる体制をつくることが大切です。そのうえで、リピートしてもらうための信頼関係を築いていくことが求められます。
患者さんが訪問診療クリニックを選択する場合、患者さん自身やその家族が選択するよりも、多職種からの紹介がきっかけで選択するケースが圧倒的に多いです。
そのため、まずは多職種にクリニックを認知してもらうための営業が必要です。訪問看護ステーションや居宅介護支援事業所、病院などへ訪問し、営業をかけましょう。
開業前であれば、開業告知のチラシやパンフレットなどを持参し、1施設ごとに訪問していくことが大切です。
実際に訪問し、顔の見える関係を作っておくことで、その後の関係づくりがしやすくなります。根気強く、地道な営業活動を行っていきましょう。
地域の多職種に認知してもらったら、多職種から自院を紹介してもらうようにはたらきかける必要があります。そのために必要なのは、信頼関係をつくることです。
患者さんに対して真摯に向き合い、迅速かつ丁寧な対応を心がけることで、患者さんや多職種から信頼してもらいやすくなります。
患者さんに対して、満足してもらえるような対応ができれば、多職種から評価され、良い口コミが広まるでしょう。結果、訪問診療が必要な患者さんを、多職種から紹介してもらえる流れが作れます。
地域の多職種に認知され、紹介してもらう体制が作れるようになると、少しずつ患者数が増えていきます。ここで大事なのは、バランスをとることです。
患者受入れを続けると、キャパシティを超え、これまで利用いただいている患者さんへの対応が難しくなる可能性があります。
特に看取りや急変対応など、計画外の訪問なども発生するのが訪問診療の特徴なので、自院の受け入れ体制を把握し、無理のないよう運営していかなければなりません。もし患者受け入れを続ける場合は、スタッフの増員などを検討する必要があります。
築いてきた信頼関係を大事にし、リピートし続けてもらうためにも、訪問診療クリニックの運営状況に合った営業活動に努めましょう。
訪問診療における今後の課題として考えられるのが、患者さんが抱く「終末期医療への不安」です。
厚生労働省の「人生の最終段階における医療に関する意識調査」によると「介護してくれる家族に負担がかかることが心配」「症状が急変したときにすぐに入院できるか不安」といった懸念を示す声があることがわかっています。
今後、訪問診療クリニックに求められるのは、患者さんが抱く終末期医療への不安を払拭できる体制づくりです。
病院や各種施設との連携体制を強化し、患者さんが病変した際にスムーズに連携できる体制が必要です。また、訪問診療を行ううえで、患者さんの心のケアにも配慮した対応が求められるでしょう。
参考:厚生労働省「在宅医療の最近の動向」
少子高齢化が進んでいる昨今、自宅で看取られたいと願う高齢者が増え、訪問診療のニーズが高まっています。
訪問診療クリニックが集患対策を行う際は、営業先となる多職種と信頼関係を築くことが大切です。また、自院ならではの強みを理解したうえで、相手が求める情報を提供し、興味・関心をもってもらうことが求められています。
地域の多職種に対して営業を継続し、患者さんを紹介してもらう体制を築くことが大切です。リピートをしてもらえるよう、受け入れ体制を維持し、患者さんへの対応をスムーズに進めていくことが求められるでしょう。
「homis」は多くの在宅医療専門医とともに開発した在宅医療用クラウド型電子カルテです。運営会社であるメディカルインフォマティクスは在宅医療機関の経営支援に特化したコンサルティング会社です。
電子カルテを中心に在宅医療にかかわるレセプト代行、事務代行、開業・承継支援、経営コンサルティング、訪問診療専門医師紹介業など総合的なサービスを提供し、在宅医療機関の経営をトータルでサポートできる点が特徴です。
電子カルテの導入だけでは解決できない課題も支援することが可能です。
理想の医療、効率的なクリニック運営を実現するために電子カルテの運営会社選びは非常に重要となります。
連携している訪問看護ステーションや施設運営者、薬局、ケアマネジャーなどとhomisを通じてリアルタイムに情報共有することができます。たとえば、施設職員が入居者さんのバイタルサイン、食事、服薬や排泄状況の共有、申送りや経過報告もhomisでやり取りできるので、多職種でのコミュニケーションが活性化し、患者さんの安心感、診療満足度の向上につながります。
訪問診療クリニックにおけるオープニングスタッフの集め方は、さまざまです。有料の人材紹介会社や求人サイト、無料のハローワークなど、採用する方法は多岐にわたっています。
スタッフを募集する際は、仕事内容や給与面、休日や福利厚生の情報などを明確にしておきましょう。
クリニックの理念や価値観に共感し、豊富なスキルや経験をもって患者さんに向きあえる人材を採用しましょう。