2025年「超高齢化」問題にともない、医療費の抑制が叫ばれる昨今、在宅医療機関における医療DXが重要視されています。
本記事では在宅医療における医療DXが必要な理由について、医療DXの現状や問題点、メリットを解説します。多くの患者さんに医療提供できるよう、医療DXを活用しながら効率的な在宅医療を行いましょう。
医療DXとは、患者さんがより良質な医療を受けられるように、以下の段階において発生する情報やデータを標準化することです。
在宅医療におけるDXの場合、紙カルテを電子カルテに移行してペーパーレス化し、業務効率を向上させる事例が主流です。
その他、デジタル化できる業務とそうでない業務を棲み分けて、アウトソーシングを活用してDXを推進する事例も挙げられます。
ペーパーレス化・デジタル化を図り、患者さんと向き合う時間を増やすことでその価値を最大化する。これが在宅医療における医療DXの目的です。
在宅医療における医療DXを推進するにあたり、以下の課題が挙げられます。
医療DXを導入しても、ITリテラシー乏しく、導入効果が見込めない場合があります。また、予算の兼ね合いで導入自体が難しい場合もあるでしょう。
昨今、少子高齢化の影響によって高齢者の数は増える一方で、医療従事者の数は減っています。夜間帯の勤務や長時間の拘束などがあり、医療現場がより過酷化していることで、離職する医療従事者も増加しています。
医療DXを活用し、業務フロー改善などを行いながら、医療従事者が働きやすい環境づくりを目指すことが求められていることが背景にあります。
スタッフや患者さんのITに関する知識が乏しいことで、IT機器を使いこなすことが難しく、期待した効果が得られにくい場合があります。
また、医療関係者の経営層の場合、IT機器を使い慣れていないという理由で導入を見送るケースもあるでしょう。
IT機器の導入時には院内研修を行い、関係するスタッフのリテラシーを上げる取り組みが必要です。また、患者さんへ機器の使用方法などを丁寧に説明することも求められます。
ペーパーレス化やデジタル化などを検討する場合、システムによっては大きなコストがかかる場合があります。
IT機器の導入の際には、人件費や業務負担の削減がどれだけできるかを見込み、トータルで得られるメリットを考慮して検討しましょう。
また、在宅医療の一部の工程だけシステム化し、費用対効果を確認しながらスモールスタートするのもおすすめです。
在宅医療における医療DXを活用することで、スタッフだけでなく、患者さんに対してもメリットが提供できます。おもなメリットは以下4つです。
医療DXを取り入れることで、スタッフの業務効率が向上し、患者さんに対して質の高い医療が提供できます。
電子カルテなどのIT機器を導入することで、訪問先でも過去の診断内容などが把握しやすくなり、薬の処方ミスや検査の重複などが防止できます。
紙カルテ使用時より、患者さんに対してより適切な治療がしやすくなるため、医療の質が向上するでしょう。
LINEなどの情報共有ツールを活用することで、院内スタッフ同士のやり取りが円滑になり、業務効率の向上が期待できます。
従来の紙ベースで行っていた情報共有から電子化することで、情報伝達が早くなり、業務がスムーズに進行できます。
電子カルテなどのシステムや情報共有ツールなどを活用することで、カルテ記入やスタッフ間の連携が取りやすくなります。そのため、1日に訪問できる件数が増加し、売上アップが見込めるでしょう。
IT機器の導入は、初期費用がかかるものの、長期的なスパンで考えると採算が合うものもあります。
IT機器を導入する際は、費用対効果を考慮しながら検討することをおすすめします。
BCP(Business Continuity Planning)とは、緊急事態に陥った場合に、事業の継続や早期復旧するための方法や手段を決めておく計画です。
訪問診療においては、自然災害や火災、テロ攻撃などの緊急事態になってもすぐに運用が復旧できる仕組みを作ることが大切です。
たとえば、クラウド型の電子カルテで運用すると、災害が起きてもデータがクラウド上で保管されるため、紛失のリスクが軽減できます。
在宅医療において、医療DXはさまざまな場面で活用されています。おもな医療DXの導入事例は以下のとおりです。
医療DXを活用することで、患者さんやスタッフの負担を軽減し、効率的な医療が実現可能です。
医療センシングとは、センサー機器によって患者さんの生体情報や行動情報を取得することです。たとえば、ウェアラブルモニタの場合、歩数や心拍数、体温や血圧などの生体情報・行動情報が簡単に把握できます。
電子カルテなどのシステムと連携することで、測定したデータがリアルタイムでカルテに反映可能です。従来必要だった手書き業務がなくなるため、書き間違いがなくなり、スタッフの業務効率が向上できます。
電子カルテを導入することで、患者さんのデータを一元管理でき、必要なときに患者さんの診療履歴や検査結果が確認できます。
タブレット端末で電子カルテを参照できるようにもできるため、訪問診療先でもタブレットを参照しながら治療ができます。
確かな情報をもとにスピーディーに診療が進行できるため、患者さん・スタッフの双方にメリットがあるといえるでしょう。
厚生労働省は、在宅医療における医療レベルを向上させるために、AIの活用を推奨しています。
AIを活用することで、日々のバイタルをシステムに飛ばし、基準から外れている患者さんをシステム上で確認できます。
システムによっては、その他の医療情報も確認ができ、医療(訪問)の優先度などを判断する際にも有効活用できるでしょう。
「homis」は多くの在宅医療専門医とともに開発した在宅医療用クラウド型電子カルテです。運営会社であるメディカルインフォマティクスは在宅医療機関の経営支援に特化したコンサルティング会社です。
電子カルテを中心に在宅医療にかかわるレセプト代行、事務代行、開業・承継支援、経営コンサルティング、訪問診療専門医師紹介業など総合的なサービスを提供し、在宅医療機関の経営をトータルでサポートできる点が特徴です。
電子カルテの導入だけでは解決できない課題も支援することが可能です。
「homis」は在宅医療専門医協力のもと、AIを搭載した新世代のクラウド型電子カルテとして生まれ変わりました。3つの新機能によってより効率的に、より安全安心にご利用いただけます。
AIがhomis内に蓄積された大量の診療情報を自動的に解析し、主治医意見書などを自動作成します。
これにより、医師の業務負担を大幅に削減します。
オーダリングの指示入力を行う際、薬の誤投与や病名の漏れなどを防止します。患者さんの治療に関わるオーダーが入力されるたびに、システムが自動的に検証し、ポテンシャルエラーを警告。医療ミスを未然に防ぎ、安全で確実なケアを実現します。
医師だけでなく看護師や相談員など、チーム医療に関わるスタッフが行ったアクションがすべて時系列で可視化されます。患者さんの治療過程を即座に追跡、把握できるようになるため、より迅速で的確なケアを実施できるようになります。
クラウド型電子カルテのため、インターネットに接続できる端末があればいつでもどこからでも使用できるため、クリニック内の他の医師や看護師への情報共有も効率的に行うことができます。また、地域の多職種(訪問看護ステーションや施設運営者、薬局、ケアマネジャーなど)とhomisを通じてリアルタイムに情報共有することができます。
「当直の先生との情報共有がスムーズになり、引継ぎを効率的に行えるようになりました。」
「他科の医師や看護師が訪問した際の情報も確認できるので、より詳しく患者さんとお話できるようになりました。
患者さんからも『本当にきちんと見てもらえているんだと感じる』というお言葉を多くいただくようになりました」
homisは介護保険用のレセコンを搭載しているため、介護算定ソフトの導入が不要です。そのため、医療と介護の患者負担分の請求・領収書、診療明細書の発行や、請求・入金管理もできます。そのほかにも、バックオフィス業務を支援する多彩な機能により、事務スタッフに集中しがちな業務負担を軽減します。
医療DXを推進することで業務効率向上や診療の質向上など様々なメリットが得られます。
医療DXを活用できる業務はないか、今の業務を見直してみてはいかがでしょうか。