訪問診療開業の手続きや準備、流れとは?【開業10~7か月前】編

訪問診療開業の手続きや準備、流れとは?【開業10~7か月前】編

この記事はこんな方におすすめ

―訪問診療クリニックの開業を考えている
訪問診療クリニックの開業のために何を準備すればいいかわからない

この記事を読むとこうなります

訪問診療クリニック開業までのスケジュールがわかる
訪問診療クリニック開業までに「いつ」「なにを」準備すればいいかわかる

「訪問診療で新規開業するにあたり、必要な手続きなどがわからない」
このようにお困りの方がいるのではないでしょうか。

訪問診療のクリニックを開業するためには、さまざま準備が必要です。
本記事では、開業までのスケジュールに沿って、必要な手続きや準備すべきものを解説します。

これから訪問診療で新規開業を検討している方は、ぜひ参考にしてみてください。

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訪問診療で新規開業するまでのスケジュール

訪問診療で新規開業する際は、全体のスケジュールを把握する必要があります。訪問診療のクリニック開業準備は、おそくとも10ヶ月前から始めておきましょう。

開業10~7か月前までにやること

訪問診療のクリニック開業にあたり、開業10〜7ヶ月前にやることは以下の通りです。

  • 開業コンセプトを決める
  • 開業場所を決めるために診療圏調査を行う
  • 物件を決める
  • 資金調達・事業計画の立案を進める
  • 必要物品を確認する
  • 保健所・消防署への事前協議を行う

訪問診療クリニックの開業準備は、日を追うごとに忙しくなります。
比較的余裕のある開業10〜7ヶ月前の段階で、上記の内容を着実に決めておきましょう。

開業コンセプトを決める

訪問診療クリニックでは、以下2種類の開業パターンがあります。

  • 外来診療+訪問診療
  • 訪問診療のみ

訪問診療のみか、それとも外来診療と併用していくのかを決めましょう。
地域の需要や院内スタッフと相談の上、診療スタイルを決めてください。

外来診療+訪問診療

院内で患者さんを診療しつつ、訪問診療を行うスタイルです。たとえば、午前中は外来診療を行い、午後からは訪問診療を行うといったスケジュールが組めます。
また、訪問診療を行う曜日を決めるパターンもあります。たとえば、水曜日と金曜日のみは訪問診療を行い、それ以外の曜日は外来診療を行うといったことも可能です。
院内で役割を分けて診療する方法もあります。たとえば、副院長は外来診療を行い、院長は訪問診療を行うといったパターンもあるでしょう。

訪問診療のみ

外来診療をせず、訪問診療専門のクリニックとして開業できます。訪問診療のみを行う場合は、厚生労働省が規定している以下の要件を満たす必要があります。

(1) 無床診療所であること。

(2) 当該保険医療機関において、在宅医療を提供する地域をあらかじめ規定し、その範囲(対象とする行政区域、住所等)を被保険者に周知すること。

(3) (2)の地域の患者から、往診又は訪問診療を求められた場合、医学的に正当な理由等なく断ることがないこと。

(4) 外来診療が必要な患者が訪れた場合に対応できるよう、(2)の地域内に協力医療機関を2か所以上確保していること(地域医師会(歯科医療機関にあっては地域歯科医師会)から協力の同意を得ている場合にはこの限りではない)。

(5) (2)の地域内において在宅医療を提供し、在宅医療導入に係る相談に随時応じること及び当該医療機関の連絡先等を広く周知すること。

(6) 診療所の名称・診療科目等を公道等から容易に確認できるよう明示したうえ、通常診療に応需する時間にわたり、診療所において、患者、家族等からの相談に応じる設備、人員等の体制を備えていること。

(7) 通常診療に応需する時間以外の緊急時を含め、随時連絡に応じる体制を整えていること。

引用:厚生労働省「在宅医療のみを実施する医療機関に係る保険医療機関の指定の取扱いについて」

診療圏調査を行う

開業コンセプトに合わせて、開業場所を決めましょう。場所を決めるにあたっては、診療圏調査を行うことが大切です。
診療圏調査とは、ターゲットとなる患者数がどの程度いるのかを把握するための調査です。
診療圏調査は、おもに以下の流れで行います。

  1. 診療圏を設定する
  2. 競合となる訪問診療クリニックを調査する
  3. 診療圏の人口を把握する
  4. 患者数を算出する
  5. 診療圏の発展性を調査する

診療圏の患者数や人口、競合クリニックの情報などを総合的に加味し、開業場所を決めましょう。

1.診療圏を設定する

気になる開業地を中心とし、診療圏を設定しましょう。都市部か郊外、診療科目などによって、適切な診療圏の広さは異なります。
診療圏を設定する方法は、以下2つです。

  • 車での到達時間を基準とする
  • 同心円の距離を基準とする

患者さんが車で来院することを想定し、クリニックへの到達時間を予想して診療圏を設定することが可能です。同心円の距離を基準とする場合は、一般的に半径1〜1,5kmまでを指します。

2.競合となる訪問診療クリニックを調査する

同じ診療科を標榜しているクリニックが何件あるかを調査しましょう。件数が多いと、患者さんが競合クリニックに流れる可能性があります。経営上、非常に重要な視点ですので、しっかり把握しておくことが大切です。

3.診療圏の人口を把握する

昼間の人口と夜間の人口を比較した場合、大きく差が出る場合があるため、それぞれを調べておくことが大切です。
また、高齢者の割合を調べておくことで今後の経営方針が立てやすいため、調べておくことをおすすめします。

4.患者数を算出する

推定患者数を算出するために、以下の計算式を用いて算出しましょう。
診療圏人口×受療率÷(科目別競合数+1)=推定患者数
あくまで推定値のため、参考程度にしておくことをおすすめします。

5.診療圏の発展性を調査する

診療圏の人口の推移や地域開発情報などを調査しておくと、今後の発展性がわかり、開業場所が決めやすくなります。細かくリサーチしておきましょう。

物件を決める

訪問診療クリニックを開業する際に選ぶ物件は、多岐にわたります。おもな物件の種類は以下の通りです。

物件 概要
一般のテナント物件 訪問診療クリニックの場合、大型の医療機器が必要ではないため、一般的なテナント物件のスペースでも問題ないでしょう。
戸建て物件 間取りや外観を自身の希望通りにできるメリットがあります。
居抜き物件 コストパフォーマンスが良いため、開業費用を抑えたい人におすすめです。
継承物件 引退した院長先生から物件を継承する方式です。医療機器などの設備をそのまま活用できるため、費用削減が可能です。
医療ビル テナントが全て医療機関(薬局・クリニック)になっているビルです。医療機関の特性を考慮した設計になっており、患者さんが利用しやすい構造になっています。
医療ビレッジ 戸建てとクリニックが1箇所に集中しているものです。駐車場などのスペースを他のクリニックと共有できます。
医療モール さまざまな診療科を標榜するクリニックが1箇所に集まって運営する方式です。集患につながりやすく、診療面・経営面の観点でメリットがあります。

開業コンセプトや診療圏調査などを考慮し、自身の要望に沿った物件を選択しましょう。

資金調達・事業計画の立案を進める

事業計画を立てるためには、訪問診療クリニックを開業するために必要な費用がどれぐらい発生するかを知っておく必要があります。
訪問診療クリニックの場合、大型の医療機器や複数の診察室が必要ないため、一般的なクリニックと比べて開業資金が抑えられます。

訪問診療クリニックにおける開業資金の目安は以下の通りです。

内容 費用(目安)
物件の敷金 約50万円
医療機器・備品・内装工事 約150万円
往診車 約200万円
医師会入会金 約300万円
運転資金 約1,000万円
合計 約1,700万円

一般的なクリニックの場合、最低でも約3000万円はかかると言われているため、比較的費用が抑えられると言えるでしょう。

開業資金を調達するための方法として、以下の融資を利用する方法が挙げられます。

  • 日本政策金融公庫
  • 福祉医療機構・リース企業
  • 医師会・地方自治体
  • 民間の金融機関

事業計画を立てるためには、借入額や返済のための資金繰りのシミュレーションを作成しなければなりません。利用する融資の方法が決まったら、無理のない範囲で返済プランを立てていきましょう。

日本政策金融公庫

日本政策金融金庫の融資上限は7200万円であり、運転資金は4800万円です。担保や保証人の有無によって金利は異なるものの、低金利かつ固定金利で融資が可能です。
比較的審査に時間を要し、運転資金の返済期間が7年であるものの、設備資金返済期限が20年間で設定されています。

福祉医療機構・リース企業

無床診療所の場合、診療所不足地域に該当していれば、福祉医療機構から融資が受けられます。また、リースの場合は金利が比較的高いものの、審査が早いのが特徴です。

医師会・地方自治体

医師会に加入することで、クリニックの開業支援ローンを活用することで、計画的に資金調達が可能です。
地方自治体の場合は、制度融資を行っています。制度融資では、信用保証の金額を支払うことで、金利優遇が受けられます。
医師会や地方自治体から融資を受けたい場合、開業場所にある医師信用組合に連絡の上、融資について相談が必要です。

民間の金融機関

地方銀行や大手銀行などの民間の金融機関でも融資が受けられます。クリニックを開業する場合は、開業場所にある地方銀行を利用するのがおすすめです。なぜなら、地方銀行によっては、スタッフの研修やビジネスサポートまで支援してもらえる可能性があるからです。
これらの支援があることで、慌ただしい開業準備期間中でも、スムーズに進行しやすくなります。また比較的低金利であり、審査に通りやすい傾向があるため、おすすめです。

必要物品を確認する

訪問診療クリニックを開業する際に、どういった物品が必要かを精査しておくことが大切です。開業時に必要になるおもな物品は以下の通りです。

分類 物品
診察室 机・椅子・体重計・血圧計・消毒液・鏡・タイマーなど
受付・待合室・玄関 時計・椅子・空気清浄機・スリッパ・パーテーション・体温計・消毒液・傘立て・玄関マット・テレビ・マガジンラック・シューズラック・ゴミ箱・つり銭ボックス・診察券入れ
スタッフルーム/バックヤード 冷蔵庫・電子レンジ・食器類・掃除機・モップ・ほうき・ユニフォーム・名札・ロッカー・タイムレコーダー・テーブル・椅子・台車・脚立など
各種設備・ICTツール 電子カルテ・レセコン・医療機器・診療予約システム・Web問診システム・診察券発行機など

必要となりそうな物品に関しては、開業10〜7ヶ月前の段階で目星をつけておくことをおすすめします。

保健所・消防署への事前協議を行う

事前協議として、保健所や消防署に対し、医院の名称や診療科目を伝える必要があります。事前に相談しておかない場合、クリニック名などが開業のタイミングで使えなくなる可能性があります。必ず、事前協議をしておきましょう。

続きの【開業6か月前~開業】編はこちら

訪問診療開業なら訪問診療向け電子カルテhomisがおすすめ

「homis」は多くの在宅医療専門医とともに開発した在宅医療用クラウド型電子カルテです。
診療現場における課題や気づきを“医師目線”でシステムにフィードバックし、在宅医が使いやすい電子カルテを追求しています。


運営会社であるメディカルインフォマティクスは在宅医療機関の経営支援に特化したコンサルティング会社
電子カルテを中心に在宅医療にかかわるレセプト代行、事務代行、開業・承継支援、経営コンサルティング、訪問診療専門医師紹介業など総合的なサービスを提供し、在宅医療機関の経営をトータルでサポートできる点が特徴です。

>>homisの機能や料金についてはこちら

クラウド型電子カルテで訪問先、クリニック、自宅どこからでも使える

インターネットが使える環境であればPC、スマホ、タブレットなどどの端末からでもアクセスし使うことができます。クリニックではパソコン、訪問先ではタブレット、自宅ではスマートフォンなどシーンに合わせて使い分けることができます。新たなソフトをインストールする必要もなく既存のインターネット回線を利用することができます。

簡単操作

カルテはシンプルな構成になっているので、操作も簡単です。カルテを事前準備することで、定期処方や次回の検査内容を備忘録として確認でき、当日の診療をスムーズに開始できます。処方内容も過去のカルテを引用して作成できるなど入力作業の最小化を実現しています。
また、書類作成はカルテの内容から自動引用することができます。これにより充実した書類内容と、文書作成時間の大幅削減を両立しています。

利用者の声

「他の電子カルテも使ったことがありますが、見やすさ、すぐ使いこなせる簡単さはhomisがダントツです」
「外来と違って記録情報が多くなるため、カルテが時系列で見れたり、検索できたり、情報を要約して整理しやすいです」

医療・介護レセコンとの連携

homisは日医標準レセプトソフトORCAと連携しており、ORCAのサポートもhomisの基本料金内で対応可能です。
また、介護保険請求には同じくORCA管理機構より提供されている「給管帳クラウド」と連携しており、医療と介護の算定・保険請求をワンストップで行うことが可能です。
医療と介護の患者負担分の請求・領収書、診療明細書の発行や、請求・入金管理もできます。そのほかにも、バックオフィス業務を支援する多彩な機能により、事務スタッフに集中しがちな業務負担を軽減します。

手厚いサポート体制

基本マニュアルはもちろん、充実したFAQサイトもご用意しています。メールや電話での無償サポートもありますので気軽に問合せすることができます。

利用者の声
「クリニックを立ち上げて医療事務も自分でやるとなった際、レセプトについてもサポートしていただいたり、業務外のことについてもお電話で何度もご相談させていただきました。お電話でのご相談でも身近な人がサポートしてくれているような感覚で、とても心強かったです」

開業時からhomisをご利用いただいているお客様の声

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